日比谷便り ~スウェーデンデンタルセンター オフィシャルブログ~

患者様、コース受講生、歯科医療関係者への最新情報です。 スウェーデン留学中のスタッフ3名によるヨーロッパ歯科最新情報もお伝えします。

夢の新規歯周病治療器発表!!

1月25日に今年度5回目のJournal Clubが開催されました。
Journal Clubとは弘岡先生が主催する20年以上続く文献抄読会です。
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今回はゲストとして先日"Nature"に論文が掲載された東北大学大学院歯学研究科(http://www.dent.tohoku.ac.jp/field/cooperation/01/index.html)の菅野太郎教授をお招きして、菅野教授グループが長年研究しているラジカル殺菌技術を用いた新規歯周病治療器に関する自身の論文について、さらにはまだ発表前のデータや今後の展開について講演していただきました。
この研究には菅野教授と弘岡先生の古くからの良好な関係もあり、歯周病治療の専門家である弘岡先生もアドバイスをしています。
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歯周病などの口腔内の疾患の多くは細菌が原因なので、殺菌技術に関する数多くの研究があります。その中でも菅野教授グループらのラジカル殺菌技術は、殺菌消毒液や光殺菌治療などと比較して殺菌効率が良く、なおかつ安全性も高いものとのことです。そのラジカル殺菌技術を従来からの超音波を用いた歯周病治療器に組み込むことにより機械的な感染の除去に加え、同時に化学的な殺菌をまでも行ってしまう強力な治療器になるそうです。これにより歯周病治療がより簡単に、そして今までよりも重度の歯周病罹患歯の保存的治療の適応症が拡大するかもしれません。
2020年の実用化を目指し治験はすでに実施済みであり、有効性と安全性が実証されているとのことです。実用化しましたら真っ先に我々のグループで使用していくことになりそうです!新規治療器具開発がいかに大変か、そして多くの障害を乗り越えるための努力を垣間見ることができました。日本発の歯周病治療器が世界の歯周病治療に変化をもたらすことができるのか楽しみです。
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また、症例のプレゼンテーションはスウェーデン・イエテボリ大学歯周病科における弘岡先生の後輩である冨岡先生(https://tomioka-dental.com)と歯周病学会専門医である宮澤先生(http://miyazawa-shika.pepo.jp)によるもので、どちらも一流歯科専門誌である"歯界展望"のシリーズ"天然歯を守る"に掲載されたケースの発表でした。
歯を残すことにこだわり再生療法も用いた長期症例でした。多くの歯科医院では早々に抜歯されてしまってもおかしくない歯を、再生療法も含めた的確な治療と長期にわたる定期的なサポーティブセラピーにより保存した10年を軽くこえる長期症例は説得力がありました。
歯を保存することへのチャレンジを後押ししてくれるようなプレゼンテーションにみなさん安心したのではないでしょうか。

日本歯周病学会60周年記念京都大会

12月16、17日に京都で開催された日本歯周病学会60周年記念京都大会に参加しました。

弘岡先生が主催する勉強会であるJournal Clubから、弘岡先生の指導のもと、専門医2人と認定医1人が誕生しました。 
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羽岡先生、志村先生、沼尾先生おめでとうございます。
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そのお祝いと懇親会が行われました。
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弘岡先生が20年以上続けている「科学的根拠に基づいた歯周病治療」コースのインストラクターでもある山脇先生が弘岡先生とのポスター発表をされていました。
普通は抜歯になってしまうであろう歯周病に罹患した歯を残し歯周補綴治療の20年を越える長期症例を提示されていましたが、なんと山脇先生が大学卒業後間も無く弘岡先生の医院に勤務していた時に治療した症例とのことで、このような全顎的で複雑な症例でも適切な指導があれば完遂できるのだということに驚き、また歯科治療における教育の重要性を痛感しました。

同じくJournal Club メンバーの田内先生もポスター発表されていました。田内先生の臨床におけるターニングポイントになった症例とのことで非常に興味深い症例でした。
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お二人の発表から、歯科医師と患者さんの歯を残したいという意思と適切な治療が行われれば、長期に歯が維持されることがあらためて提示されたのではないでしょうか。

フィンランド LMインスツルメンツ社副社長表敬訪問

今年5月に引き続き、フィンランドのLMインスツルメンツ社の副社長、Mika Sandeさんがスウェーデンデンタルセンターを訪問されました。Mikaさんの奥さんは歯科医師で、弘岡先生と同じスウェーデンのイエテボリ大学を卒業されたこともあり、弘岡先生とは古くからの知り合いとのことです。
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LMインスツルメンツ社は弘岡先生がスウェーデン留学中から使用していた歯周病治療用器具を製造する世界的なメーカーで、スウェーデンデンタルセンターでも多くの器具を使用しております。
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今回の訪問は、耐久性の高い特殊なコーティングによりシャープニングが不必要になったキュレットの新製品 “LM シャープダイヤモンド” の日本での販売が始まるとのことで、その説明にいらっしゃっいました。
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そして、その発売に先立ちスウェーデンデンタルセンターで使用してほしいということで発売前の新製品を置いていかれました。
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新品の切れ味を維持でき、さらにシャープニングが不要になることでブレード自体をコンパクトにできるので狭い歯周ポケット内での操作が容易になり、患者さんに負担の少ない正確な歯周病治療ができるのではないかと期待されます。使用するのが楽しみです!

「歯周病患者のインプラント治療」出版記念講演会(3日目)

10月28, 29日の2日間にわたり弘岡先生と古賀先生の著書「歯周病患者のインプラント治療」出版記念講演会が開催されました。

講演会終了後、Renvert夫妻を招いてJournal Clubのメンバーとの日光観光が行われました。
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何度も来日しているRenvert教授ですが、意外にも日光は初めてとのことです。 
旅行の計画は日光を知り尽くした早乙女先生、野田先生、沼尾先生に計画していただきましたので完璧な段取りでした。
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宴会ではなかなか買うことのできない日光の日本酒、日光の天然氷を届けてもらっていたので、普段は上級者を装いウィスキーはストレートでしか飲まない弘岡先生ですらロックで飲んでいました。
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計画していただいた先生方のおかげで、普通は入ることのできない将軍の間を見せていただきました。
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日光は観光のベストシーズンでRenvert教授夫妻も日本の紅葉を堪能しておりました。
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ランチはクラシックな洋食で、和食に疲れてきたであろうRenvert夫妻には良かったのではないでしょうか。
講演会でも感じられたRenvert教授の優しさを一緒に旅行することでをあらためて感じることができました。この人柄が多くの臨床家と患者さんを引きつけるのでしょう。
また、愛妻家で知られる?弘岡先生が羨むほどのRenvert夫妻の仲の良さは印象的でした。
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「歯周病患者のインプラント治療」出版記念講演会(2日目)

10月28, 29日の2日間にわたり弘岡先生と古賀先生の著書「歯周病患者のインプラント治療」出版記念講演会が開催されました。
2日目はインプラント治療に関する内容となりました。
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2日目も座長は冨岡先生です。
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まずは古賀先生による疫学の歴史からインプラント治療における疫学まで非常にわかりやすい講演からスタートしました。スウェーデンでのインプラント周囲病変に関する疫学調査を紹介しながら、インプラント周囲病変の有病率を患者レベルとインプラントレベルそれぞれを把握することが重要と述べておりました。

Renvert教授は得意分野であるインプラント周囲病変について、その定義、有病率、治療方法まで、1日目と同様に自身の未発表の論文を含む文献的な考察に加え、自身の臨床症例を交えた説得力のある講演となりました。
インプラント周囲粘膜炎であれば非外科処置で改善が期待できるが、インプラント周囲炎に進行してしまうとたとえ外科処置を行なったとしても十分な改善を得ることが難しく、抗菌薬の効果も大きな改善を期待できるものではないとのことです。
そのため厳格なサポーティブセラピーによる予防が必要であり、さらに、最も重要なことはインプラント埋入前には疾病治療(歯周病や虫歯の治療)を完了しておくべきであり、そのことによりインプラント周囲炎に罹患するリスクを低減できると述べておりました。
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スウェーデンデンタルセンターにおける臨床例について弘岡先生とRenvert教授が治療方針をディスカッションする時間が設けられ、お互いの臨床家としての知識と経験に基づいた有意義なものとなりました。日本でも今後、多くの臨床家を悩ますであろうインプラント周囲病変への対応の参考になったのではないかと思います。
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弘岡先生の講演は、一般的には抜歯されインプラントを埋入されるであろう重度歯周病に罹患した歯を保存する歯周補綴治療へのインプラントの応用についての講演となり、歯をサポートするための手段としてインプラントを利用すること、また、今後増加することが予想されるインプラントと歯が混在する口腔内の管理について文献、臨床例を提示し解説していました。

2日間にわたる講演は、弘岡先生とRenvert教授の強固な友人関係ならではの終始和やかな雰囲気で行われ、なかなか他の講演では得られない貴重な体験ができたのではないでしょうか。
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