日比谷便り ~スウェーデンデンタルセンター オフィシャルブログ~

患者様、コース受講生、歯科医療関係者への最新情報です。

ジャーナルクラブ:インプラント上部構造のエマージェンスプロファイル

2020年度3回目のジャーナルクラブを開催しました。
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インプラント上部構造の形態がインプラント周囲炎のリスクインジケーターになるのか?
Yiらの2020年の論文を目白で開業されている藤澤先生に抄読していただきました。
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結果は、2018年のKatafuchiらの研究と同様に、インプラント上部構造のエマージェンスアングルが30°以上であることや、凸形態であることがインプラント周囲炎のリスクインジケーターになり得るとしています。
この論文ではレントゲン写真からインプラント上部構造のエマージェンスプロファイル、エマージェンスアングルを計測し、その角度や形態とインプラント周囲炎との関連を調べています。しかし、レントゲン写真では近遠心側の計測しかできず、頬舌側の計測はできません。また、レントゲンでは軟組織辺縁が測定できないため、実際のエマージェンスプロファイルと一致しているかは不明です。
天然歯での研究では、Yotnuengnitらのように石膏模型の断面から頬舌側のエマージェンスアングルを計測しているものもあります。
この研究は、プラークコントロールの良好な患者群が対象ですが、対象インプラント自体のプラークスコアは記載されていないため、インプラント上部構造形態がプラークコントロールに影響を及ぼしたことで、インプラント周囲炎の罹患率に差が出たのかは明確ではありません。しかし、多くのインプラント周囲炎は細菌性プラークにより引き起こされる疾患であるため、上部構造には磨きやすく、また、病気を早期に発見できるようにプローブによる検査ができるような形態を付与することが重要なのではないでしょうか。
疑問点は多いですが、ディスカッションの良いネタになりました。
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Baderstenの1984年のゴールドスタンダード論文を春日部で開業されている吉田先生に抄読していただきました。
分岐部は対象にしていない研究ですが、プラークコントロールがよく、単根歯であれば、かなり深い歯周ポケットにも非外科処置で対応できる可能性や、超音波スケーラーと手用スケーラーで治癒に有意差ないこと、3mm以下の歯肉溝へのスケーリングはアタッチメントロスを引き起こすことなどを示唆した、マイルストーンたる論文です。
プラークコントロールを良くするための方法はPart Ⅰを参照しましょう。
35年前の論文ですが、現在でも原理原則は変わっていません。ただ、器具は変わっていくので注意は必要です。
弘岡先生によると、著者であるBaderstenは、あのProf. Egelbergの実の妹だそうです!
Prof. Egelbergの講義は科学的根拠に基づく素晴らしいものだったそうです。
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今年、歯周病専門医を所得された鄭先生の症例発表は口腔内写真も美しく、流石にスマートでした。
次回は11月12日開催予定です。
  • Posted by sweden_dc
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  • 17:58 | Edit

2020年度第2回ジャーナルクラブ

今年度2回目のジャーナルクラブは、コロナ禍ということもあり、いつもより広い高級な会議室を借りて、世界でも類を見ないソーシャルディスタンスを確保しながら慎重に開催いたしました。
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冨岡先生には歯間部プラークコントロールのメタレビューを、マニアックに解説していただきました。さすがのイエテボリグループならではの的確な解説でした。忙しい中、おまけのスライドまで用意していただき、難しい論文を猿でもわかるように説明してくれました。
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ケースプレゼンテーションは、千葉県で開業されている加藤先生によるマイクロスコープを用いた非外科処置症例を提示していただき、ディスカッションを行いました。
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そして、スウェーデンデンタルセンター副院長による論文抄読では、こんなご時世にわざわざ参加してくれた方々が、地球に生まれたことを感謝するような、そんなマーベラスな時間を過ごせました。

参加者の歯間部プラークコントロールに関する知識は爆上がりし、目は血走り、興奮のあまり夜も眠れなかったことでしょう。

最後は恒例の弘岡先生による総括で、ケースを提示しながら何か喋ってました!
  • Posted by sweden_dc
  • 11:46 | Edit

”Dr. 弘岡に訊く臨床的ペリオ講座 Special Issue -歯周病とインプラント周囲病変の患者説明ブック”

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本書は、弘岡先生が参加した、2018年5月にチューリッヒで開催された国際歯科連盟(FDI) 主催の「インプラント周囲病変」を啓蒙するためのワークショップにて、スウェーデンから招聘されていた、弘岡先生のイエテボリ大学大学院時代のクラスメイトGiovanni Serino先生との休憩中の雑談からアイディアが浮かび誕生しました。

FDIでの会議中に、インプラント周囲病変について患者さんへの啓蒙の必要性を感じ、海外の多くの著名な歯周病医との意見交換から得られた知見を元に、Serino先生と共著で、患者さんのコンプライアンス向上に繋がる有効な説明用ツールとなる患者説明用ブックが出版されました。
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歯周病やインプラント周囲病変の予防と治療におけるキーポイントは、患者さんのモチベーションの向上です。そのためには、病気について正しい知識を伝えることが重要です。病気の予防と術後の良好な予後を望むためには、患者さんに病気に対する理解を深めてもらい、治療に参加してもらう必要があります。歯科医療のプロフェッショナルとして、患者さんの状況に合わせ、病気のこと、検査のこと、治療のことをわかりやすい言葉で過不足なく伝える技術が求められます。

各項目の最初のページには、患者さんにそのまま見てもらうために、平易な文章とわかりやすいイラストや臨床例を多く掲載しています。裏面には説明を行うスタッフ向けに、エビデンスや臨床に即した知識がコンパクトに解説されています。
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また、チェアサイドで使用できる、歯周病とインプラント周囲病変の病態や歯周外科、インプラント治療の説明用カードが12枚付録でついてきます。(購入者にはカードのPDFデータがダウンロードできます!)
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iPad等にダウンロードした説明用カードのPDFデータを取り込み、描画ツールを用い画面上に直接書き込むことで、さらに説明しやすくなります。

誰もが理解しやすいシンプルな本書ですが、読み深めると、知識が豊富な専門医や情報過多で大渋滞中の方にも、知識の整理と確認に役立ち、読めば読むほど味が出る、スルメ、いやビーフジャーキーのような、噛めば噛むほど肉の美味さが楽しめる、甘いだけのビーフジャーキーにはもう飽きたという方にもオススメのbookとなっております。

”Dr. 弘岡に訊く臨床的ペリオ講座 Special Issue -歯周病とインプラント周囲病変の患者説明ブック”
  • Posted by sweden_dc
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虫本栄子先生講演会(ジャーナルクラブ特別講演)

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講師の虫本先生は、大学にて歯科補綴学を専門とされ、臨床と研究に従事されていらした歯科界の重鎮たる先生です。その経歴は華々しく、留学が一般的ではなかった70年代に、研究員として西ドイツ・デュッセルドルフ大学に渡り、さらにはデンマーク・コペンハーゲン王立歯科大学でも活躍されておりました。そんな歯科界のオピニオンリーダーであり、著書も多数ある虫本先生のお名前は、弘岡先生も自身の留学前から知っており、面識は無かったものの気になっていたとのことです。今回、牧野先生のご尽力により、弘岡先生が主催するジャーナルクラブでの講演をお願いすることができました。
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25年に及ぶジャーナルクラブの歴史においても、補綴臨床医による講演は初めてです。
講演の導入として、弘岡先生による日本補綴歯科学会でのシンポジウムの内容をアレンジした、「補綴治療におけるスカンジナビアンアプローチ」として、スウェーデン留学時からのライフワークである、重度歯周病患者が歯周治療後、失われた歯周組織を維持するために、また、欠損部の機能および審美性回復のために、ブリッジやインプラントを応用した固定性補綴装置でのリハビリテーションについて講義がありました。
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いよいよ待ちに待った虫本先生の講義は、まず、留学時の思い出をたくさんの写真を交えてお話ししていただきました。インターネットからの情報が入らない時代に、論文の著者を訪ねてヨーロッパ中を駆け巡った行動力には、会場中の聴衆が驚嘆しました。
その後、本題である欠損部への可撤式補綴装置よるアプローチである、部分床義歯について講義していただきました。ご自身の研究に関する、大学で教員されていらっしゃった先生ならではの、咀嚼からインプラントオーバーデンチャーなど、アカデミックな内容から始まり、留学での貴重な経験に裏打ちされた、ドイツの精巧な義歯治療からスカンジナビア型のハイジニックな義歯治療まで、さらには長い臨床経験を通して培われた豊富な知識を披露していただきました。
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インプラント治療が普及した現在においても、未だ欠損補綴のゴールドスタンダードである義歯治療の重要性を改めて感じることができました。虫本先生の講義からは、補綴治療に対する探究心と愛情がひしひしと感じられました。
講義時間が足りず、義歯設計理論や、義歯臨床におけるhow-toなど、まだまだ伺うことができなかったお話がたくさんありそうなので、第2弾あるかも?しれません。
  • Posted by sweden_dc
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  • 18:12 | Edit

「スウェーデンの歯科衛生士から学ぶ!歯科衛生士のためのベーシックペリオ講座+インプラント」が発刊されました。

imagehttps://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=422660

 本書は私どもの診療所、スウェーデンデンタルセンター(SDC)の衛生士業務全般がわかるようになっています。SDCの主任歯科衛生士、加藤典の力作です。もちろん患者主体のスカンジナビア歯周病学にのっとって、これまで25年近くSDCで実践してきた内容を、臨床写真、イラスト盛りだくさんで紹介しています。イエテボリの知り合い歯科衛生士のアドバイスが秀悦です。本書を読んでいただければ、スウェーデンでできた歯科医療、衛生士の業務は、やはり日本でも可能なんだと納得できると思います。通読してスカンジナビア歯周病学を学ぶのも、あるいはQ&A方式で書かれているので、日々疑問が出たときに本書を開いて問題解決することもできます。エビデンスは最小に押さえていますので、必要なエビデンスは前著”DR. 弘岡に訊く1, 2”を参照してください。

https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=463090

https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=463120

是非、日々の臨床の参考にしてください。


  • Posted by sweden_dc
  • 14:59 | Edit
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