日比谷便り ~スウェーデンデンタルセンター オフィシャルブログ~

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2013年度弘岡秀明歯周病学コース 再生療法

今週末、2013年度弘岡秀明歯周病学コース第5回が行われました。
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コースもいよいよ終盤です。衛生士さんのケースプレ。とてもやる気にあふれていて、いつも鋭い質問をぶつけてきます。

今回の内容は再生療法、主にEMDOGAIN®療法やGTR法です。
再生療法の正確な適応症、果たして歯周組織はどこまで再生するのか、また、再生した組織はどれほど維持できるのか…。弘岡先生は、スウェーデンのイエテボリ大学にて、EMDOGAIN®やGTR法を開発段階から目の当たりにされてきた先生です。その歴史を社会的な背景や研究者の話しも織り交ぜながら解説してくれます。
そもそも本当に再生しているのか。骨が出来ているかはX線を用いれば確認する事ができますが、歯周組織が再生されているかは組織切片なくして判断は出来ません。それはリエントリー手術を行い、骨面を直接確認したとしても同じ事です。そして、毎回再生した組織から切片を取る事は当然考えられませんから、私達は研究データから、それが付着の獲得を伴う歯周組織の再生である事を理解する必要があります。やはり、再生療法を応用するにあたり、生物学的な背景を理解する事は欠かす事が出来ません。
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バイオロジーは理解が難しいですが、弘岡先生は動画や図を多用し、視覚的に説明してくれます。百聞は一見に如かず、です。
実習はEMDOGAIN®療法。豚顎骨を用いての実習でした。実技も7回目になりますので、皆さんどんどん進みます。今回は再生療法でしたが、もちろんEMDOGAIN®を塗布するだけではなく、その為のフラップの扱いや縫合のテクニックを指導しています。特に骨膜にいれる切開が出来ていない事が多かったようで弘岡先生が実演していました。
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 それぞれの先生に対し、実際に手技を見せる事で理解を深めていただいています。やはり、視覚で得られる情報は多く、また、すぐにそれが実践できる環境はコースならではだと思います。実際に出来ているのかどうかを指摘してもらえる環境はなかなかありませんよね。

そして、ケースディスカッションも行われました。
ケースディスカッションはケースプレゼンテーションを見た後にに行われる事が多いかも知れませんが、今回は治療内容はみせず、初診時の記録から、各グループが治療計画を立て発表していただきました。
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ケースディスカッションが出来るのも、資料採得がしっかりと行われているからこそです。

実はこのケースディスカッションに用いられた症例は、15年程前に弘岡先生が海外留学経験のある5人の著名な先生方に同じく治療計画を立てていただき、ディスカッションした症例になります。その内容は歯界展望に掲載されました。皆様実に様々な治療計画を立てられましたが、留学先によってある程度系統だてられている様に感じました。やはり教育を受けた環境の影響は大きい。まあ、環境は自分で選んでいる部分もあると思いますが。
その5人の先生のうちの1人が秋本健先生です。
その秋本先生が、たまたま同じ日に同じ会場で講演をされていましたので、弘岡ペリオコースに遊びに来て下さりました。
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秋本先生。後ろの口腔内写真は15年程前にケースディスカッションされたケース。
弘岡先生はいつも、『秋本健先生はすごいんだ』と話していましたが、今回初めて直接お会いできました。実に勢いのある頼もしい先生でした。
秋本先生は、主義主張が異なる事はある、と話されていましたが、確かにその通りです。 
弘岡先生とは全く考え方が異なります。しかし、お互い楽しそうに話しているのは、恐らく主張こそ違えど、高いプロ意識を持っている点では通ずるところがあるからではないでしょうか。 
  • Posted by sweden_dc
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