日比谷便り ~スウェーデンデンタルセンター オフィシャルブログ~

患者様、コース受講生、歯科医療関係者への最新情報です。

イエテボリ大学カリオロジーの巨匠Dowen Birkhed名誉教授がSDCを表敬訪問しました。

SDCには久しぶりにスウェーデンから表敬訪問がありました!

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弘岡先生の友人で、カリオロジーの巨匠Dowen Birkhed名誉教授が、NPO法人「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」理事長の西真紀子先生による招待で10日ほど日本に滞在されていましたので、SDCのスタッフも日曜日に行われたオープンセミナーに招待され参加してきました。
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立食パーティーでひとしきり歓談した後、1時間のセミナーで糖尿病とカリエスの関係について、現在分かっていることをBirkhed教授のグループによるシステマティックレビューなどを交えながら、的確にわかりやすく講義してくれました。わざわざスウェーデンからプロジェクターを持参する熱の入りようで参加者を驚かせていました。糖尿病患者はカリエスリスクの評価が大切で、特に歯周病に罹患した患者は治療後に根面が露出することがあるので、より綿密なカリエス予防が大切になります。


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スウェーデンデンタルセンターには2013年以来9年ぶりの訪問でしたが、有意義な時間が過ごせました。どうやら引退してもアクティブに活動されているようです。その後のパーティーも盛り上がり大変喜んでいましたが、次の日に帰国ということもあり時折寂しそうにしていました。来年も大阪に招待されているとのことなので再会を楽しみにしています!
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国際口腔インプラント学会東京WEB講演会(第3回)

国際口腔インプラント学会東京WEB講演会の3回目の収録が終わりました。
今回はインプラント周囲病変について講義しています。
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コペンハーゲンで開催されたヨーロッパ歯周病学会(EuroPerio10)で、いきなり入り口で旧知のスペインのMariano Sanz教授と遭遇

インプラント周囲炎も天然歯と同様に、細菌性プラークにより引き起こされる病気であることを、ヒトおよび動物による研究から解説しました。その有病率はスウェーデンでインプラント周囲炎が22%、インプラント周囲粘膜炎ではなんと43%も認められたと、イエテボリ大学歯周病科の准教授Jan Derksらが報告しています。歯科における予防が進んでいるスウェーデンですら、かなり多くの患者にこの病気が認められることをエビデンスをもとに解説しました。
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イエテボリ大学のDerk准教授の講義後、弘岡先生はちゃっかり自分の教科書の宣伝しています。

インプラント周囲病変の分類方法は、弘岡先生とスウェーデンのStefan Renvert教授の共著であるFDIのコンセンサスレポートから解説しました。また、インプラント周囲炎の治療は、弘岡先生のイエテボリ大学時代の同級生であるSerino先生による一連の2年、5年、10年のフォローアップ論文から、実際のスウェーデンデンタルセンターでの症例を提示しながら考察しました。やはりインプラント周囲の骨まで喪失した状態であるインプラント周囲炎になってしまうと治療が難しく、確定的な治療方法がみつかっていないので、予防と少なくとも初期の段階で病気を発見し進行しないようにすることが大切です。
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Dr. 弘岡に聞く臨床的ペリオ講座スカンジナビアンアプローチの実践より

インプラント埋入前に、インプラント周囲の病気のリスクとSPTの必要性を患者に知らせるべきであり、禁煙、歯周病の治療は、インプラント処置に先立って行わなければなりません。そして、インプラント埋入後には、上部構造はプロービング、患者および術者の清掃がしやすい形態に、患者には個々の口腔衛生について定期的検査と再教育を伴う指導を受ける必要があります。
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インプラント周囲炎についてのRenvert教授、Derks准教授、オスロ大学のKoldsland准教授の討論会に参加。

弘岡先生が、4年ぶりに110カ国、7500人の参加者を集め開催されたヨーロッパ歯周病学会に、数人しかいなかった日本人参加者のひとりとして学会参加した直後ということもあり、ヨーロッパの最新情報を入れながら講義を行いました。

公開を楽しみにしていてください。 
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国際口腔インプラント学会東京WEB講演会

朗報

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弘岡先生が大学院を卒業したイエテボリ大学歯学部が、世界で最も有名な3つの大学ランキングデータのうちの1つであるQS World Univesity Rankings1位になりました。


いよいよ本題へ。
歯周病患者にインプラントは応用可能か?
2022126()診療終了後、WHITE CROSSにて国際口腔インプラント学会の東京WEB講演会【歯周病患者のインプラント治療】の第2講演の収録を行いました。

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(参加申し込みは210()まで)


まず、前回の復習からスカンジナビアアプローチ、非外科VS外科、歯周補綴の20年経過症例、分岐部へのヘミセクション、歯根分割、歯根切除のアプローチが全て詰まった術後15年の長期症例!始まりからヒートアップします!

2回は歯周病患者にインプラントは応用できるだろうか?という演題でした。どのような方法で、予後は?そのために何が必要か?という不安がある先生もいらっしゃるのではないでしょうか?今回のウェビナーがまだ公開前のため詳しくは話せませんが、Hulitinらのインプラント周囲の骨欠損部に歯周病原因菌が存在していたとの報告にますます不安が...そんな方もご安心ください!Jemtらの無歯顎、部分欠損での1986年から2015年のデータ分析Karoussisらの慢性歯周炎の既往のある患者と無い患者の比較など、セミナーでは文献を引用しながら疑問を解決しています。

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診療終了後、食事を取れずエナジードリンクで補給)

広汎型侵襲性歯周炎患者へのインプラント治療については、Mengelらの研究データを引用して説明しました。また、弘岡先生自身が実際に行っているイエテボリ大学で培ったエビデンスベースの25年長期症例などスカンジナビアアプローチの集大成となり、2時間があっという間の収まりきらない内容盛りだくさんです。

色々な治療があり、患者さんの納得がある中で、患者さんにとって何が最善な治療でどのように治療を進めていくのかを長期症例を拝見し、また科学的根拠に基づいた説明を自信を持ってできるようなヒントが沢山あり、興奮しっぱなしのかなり有意義な2時間でした。

是非、WEBセミナーを受講して診査、診断、感染除去、コントロール、予後リスク、歯の大切さを学びましょう。(WEB期間:224日~36日、申し込みは210日まで)

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さらに詳しくは20211224日に出版された弘岡先生の名作スカンジナビアアプローチの実践】をご覧ください。エビデンスベースの長期症例、その後が掲載されています。論文データや症例写真が多く、テキスト片手にWEBセミナーを受講すると、より一層理解が深まります。


次回は第3回講演【歯周病患者のインプラントの実際】です。 
ご期待ください。 

文:林 

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第25回米国歯科大学院同窓会(JSAPD)公開セミナー

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弘岡先生が由緒正しい米国歯科大学院同窓会の第25回 公開セミナーで基調講演を行いました。
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米国歯科大学院同窓会(JSAPD)は北米やEUで専門教育を受け、Certificate以上を所得した歯科医師の団体です。弘岡先生はスウェーデンのイエテボリ大学の大学院を卒業しているのですが、そのイエテボリ大学が弘岡先生の基調講演に合わせるかのように、歯科における大学世界1位になりました!
昨年はコロナ禍の影響で開催されなかったため、2年ぶりの開催でした。対面でのセミナー自体も久しぶりなので楽しみにしていた方も多かったのではないでしょうか。
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「大西洋の東と西、ペリオのランドマークスタディーズとこれから」という壮大なタイトルで、スカンジナビアをはじめとするヨーロッパからアメリカまで、歯周病学における歴史的な偉人達の歴史的ランドマーク論文を、多くの偉人達と実際に会いディスカッションをしている弘岡先生ならではの誰も知らない裏話を交えた歯周病学の歴史を講演しました。留学された専門医の先生方も来場していたので論文に隠された裏話は興味深かったのではないでしょうか。
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弘岡先生による基調講演のあとは7名の演者によるテーブルセッションが行われました。参加者はそれぞれ興味のある講師のテーブルで、基調講演とは打って変わっての少人数ならではの講師と近い距離での講義を聞くことができました。弘岡先生も急遽講師を務めることになりインプラント周囲炎への対応を講義しましたので、しゃべりっぱなしの1日となりました。
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大会長を務めたのはスウェーデンデンタルセンターで矯正を担当していただいている加治先生でした。
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Dr.弘岡ペリオコースウェブセミナー第8回:WHITE CROSS

長かった全8回コースも最後まで緊急事態宣言の中、とうとう最終回をむかえました。
最終回はWHITE CROSSの新スタジオで行いました。
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講義中に今年の9月から対面での弘岡秀明歯周病学1年コースが再開される予定であることがアナウンスされました!時間の都合で講義できていないTrauma from occlusionなど気になる方は、久しぶりの対面でのコースにご参加ください!
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WHITE CROSS新スタジオ

最終回の講義前半は、SPTをスカンジナビアやアメリカからのゴールドスタンダード論文で解説しました。
KnowlesらRamfjordのグループは術後8年間のフォローアップで、歯周治療の術式にかかわらず3ヶ月に1回のメインテナンスにより健康が維持できたことを報告しています。
Nymanらも外科処置後、SPTにより健康を維持することができたと報告していますが、術後6ヶ月に1度のスケーリングのみのグループでは高い口腔衛生状態を維持することができず歯周病の再発を起こしています。リコールができない患者および環境では外科処置を行うべきではないと言えます。
Axelssonらの30年に渡る一連の研究から、長期経過においても定期的なメインテナンスにより齲蝕と歯周病の発生率、および歯の喪失は非常に小さかったことがわかります。この一連の研究でも、その他多くの研究と同様、メインテナンス期間中に縁上のPMTCだけ行なっていたわけではなく、SRPも行なっていたことから、病気の進行があれば早期の治療的介入が行われていることが分かります。
Matulieneらベルン大学のグループによるとPPD>6mmではBoPに関わらず、歯を喪失するリスクが高くなることが報告されています。1つのパラメーターから予後を予測することは困難ですが、SPT時に正確な診査、診断を行い、個々の状況に応じて再治療の可否を判断することが必要となります。また、再感染が起こってしまった原因の分析を行い、改善をしなくてはなりません。
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左からWHITE CROSS共同経営者の田代先生、弘岡先生、WHITE CROSS CEO赤司先生

後半は、前回時間がなく講義できないかったインプラント周囲炎の治療を解説しました。
Charalampakisらの後ろ向き調査によると、インプラント周囲炎に対する治療方法は確立されていないため、色々な治療がされていますが、インプラント周囲炎の治療は45.3%しか成功しておらず、特に、インプラント周囲炎が早期に発症した場合は治療が難しいとしています。
また、弘岡先生のイエテボリ大学大学院の同級生のSerino先生によるインプラント周囲炎の治療後のレポートによると、抗菌薬の全身投与とポケットエリミネーション、骨整形による外科処置後、2年間で77%が成功しています。被験者のインプラント上部構造は磨きやすい形態に修正され、プラークスコア、ブリーディングスコアはともに低い状態が維持されています。Serino先生は、毎回上部構造を外し、プロービングを行い、残存するポケットに対しては縁下のスケーリングをしています。その後、術後5年のレポートでも厳格なサポーティブセラピーによりインプラント周囲の状態は維持されています。
Heitz-Mayfieldらもインプラント周囲炎の治療後5年間のフォローアップで、サポーティブセラピーにより手術後に得られたインプラント周囲の状態が大部分の患者で維持されたと報告しています。
Serino先生らは、さらに今年発表した術後10年のレポートでも、外科処置後に達成されたインプラント周囲の健康状態はほとんどのインプラントで維持され、また、外科処置後もリスクの残存するインプラントも厳格なサポーティブセラピーが伴えば安定した状態の維持が可能であると報告しています。
そのSerino先生に著者自ら論文を解説してもらった弘岡先生とのZoom対談のビデオのダイジェストを、ピエトロ・マスカーニの優雅な音楽に乗せてお届けしました。
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最後に総括と質疑応答を行い、無事、全8回の講義を終えました。
歯周治療の主な目標は、患者に口腔衛生習慣を動機付けることである!
今からでも振り返り視聴ができます。まだ間に合います!
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また、大ヒットテキスト「Dr.弘岡に訊く臨床的ペリオ講座」が大幅な書き換え、加筆後、近日リリースされますのでご期待ください。 
WHITE CROSS CEO 赤司先生ならびにスタッフの皆様のおかげで、全8回という長丁場のウェビナーを無事終えることが出来ました。色々なご配慮ありがとうございました。 
  • Posted by sweden_dc
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