日比谷便り ~スウェーデンデンタルセンター オフィシャルブログ~

患者様、コース受講生、歯科医療関係者への最新情報です。 スウェーデン留学中のスタッフ3名によるヨーロッパ歯科最新情報もお伝えします。

2014Journal Club 5th

先日Journal Clubがありました。
内容は下記の通り。 
1.冨岡栄二先生症例発表
2.論文抄読;宮澤 進 先生
Patients views on periodontal disease; Attitudes to oral health and expectancy of periodontal treatment: A    qualitative interview study. Kajsa H Abrahamsson/ Jan L Wennström/   Ulrika Hallberg
3.論文抄読;天野 大地 先生
Patients attitudes towards oral health and experience of periodontal treatment a qualitative interview study. 
Jane Stenman/ Ulrika Hallberg/ Jan L Wennstrom/ Kajsa H Abrahamsson 

冨岡先生の症例発表は前回の続きです。
Lindhe 先生とNevins先生に頂いたコメント付きで症例発表をして下さいました。贅沢です。
ポイントは、ずばり外科処置の基準です。Kajsa Abrahamssonの報告でもありますが、外科処置は患者さんとしては避けたい治療方法である事に違いはありません。なんといっても外科処置ですから、恐いのは皆さん一緒です。無駄な外科処置は避け、出来れば非外科処置で対応したいのは患者さんの希望でもあります。
しかし、非外科処置にも限界はあり、だからこそ外科処置という選択肢が存在するのです。その基準に関して、Lindhe 先生とNevins先生のコメントをつけて解説して下さいました。
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外科処置の基準とは。明確な基準があった方がわかりやすいですが、術者、患者、患歯によって状況が異なるため、画一的な基準を設ける事は難しい。
そして文献はKajsa Abrahamsson先生の論文です。3月に招待講演を企画していますので、それに向けて会員で抄読しています。が、とても難しいです。というのは、Kajsa先生の論文は、歯科治療と患者心理をつなげる研究であり、この心理に関する文献が読み慣れていないため、なかなかに大変です。
ここからは個人的な見解です。
人の心理を客観的に評価する事は難しいです。しかし、人の心理が治療に与える影響は非常に大きく、特に歯科治療は患者の口腔衛生なくして良好な結果は得られないため、いかに患者さんのモチベーションを引き出すかが治療の成否を大きく分けます。ゆえに、客観的評価が出来ないからと言って、患者の心理は治療を考える上で無視できないのです。
歯周治療に関する文献の多くは、患者の良好な口腔衛生が大前提となっており、それはある種のバイアス(偏り)が生じている、と評される事もあります。つまり、実際の臨床では、口腔衛生の良い患者ばかりではない、と言いたいのです。
患者のモチベーションを引き出す事は良好な予後に欠かす事が出来ないのなら、なんとかそれを引き出す方法を客観的に導きだす事が出来ないか。長くなりましたが、それに迫る研究だと言えます。

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 研究手法の説明を聞いていますが…難しい。

そして、研究手法にはGrounded Theoryというものを使用しています。正直、専門の人間がいないのでみんな手探りです。しかも英語なのでチンプンカンプン。
またまた個人的見解です。
今回の文献は、患者のインタビューを集め、客観的に人の心理を評価しているのですが、1つのストーリーにはいくつもの解釈が存在します。それでは、評価者が変われば結論も変わってしまいます。
では、ストーリーを文章に分解し、1つの文章に注目します。ストーリーよりも解釈の仕方は限定されるでしょう。さらに、 今度は文章を単語に分解し、1つの単語に注目します。単語の解釈は文章よりもさらに限定され、評価者間による差が小さくなるように思います。
こうしてインタビューを分解していく事により、出来るだけ客観性を保ったまま、結論を導きだす手法。そんな理解で僕はいます。合っているかはわかりませんが。

夜は懇親会。頭をたくさん使ったので、リフレッシュが必要ですね!
次回もがんばっていきましょう。

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最後はいつもの様に反省会。次回はKajsaの文献3つです。がんばりましょう! 

2014 ジャーナルクラブ ”奥田克爾教授特別講演”

本日はジャーナルクラブがありました。
今回は特別講演。奥田克爾名誉教授をご招待しての開催になります。 
内容は以下の通り。
1、奥田たまき先生症例発表
2、冨岡栄二先生症例発表
3、奥田克爾教授特別講演”デンタルバイオフィルムとのバトル”

奥田たまき先生は、弘岡ペリオコースを受講してからの治療の変遷や、施設訪問での経験を発表して下さいました。
また、歯科医院は小さいコミュニティの中にしめる女性の割合が多いです。
そして、開業された先生の悩みでよく聞くのがスタッフトラブルです。 女医として、男性歯科医師がとるべき対応に関しての意見も言及されていました。 
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お父さんの前での発表。緊張を微塵も感じさせない堂々とした症例発表でした。

冨岡先生の症例発表は、パソコン、液晶を二台用いての発表でした。聴衆への心配りが随所に見られ、とても聞きやすく、また興味深い内容であり、さすがの一言でした。そして文献ベースに確立した治療や、再評価時にレントゲン撮影が必要か否かなど、信念をもって治療をされている様がよくよく伝わってきました。
この症例は、10年程?前に臨床歯周病学会で取り上げられたもので、冨岡先生の症例発表の後に、Lindhe先生 とNevins先生が考察を加えるという、非常に興味深い企画に用いられた症例という事です。
これから、Lindhe 、Nevinsの考察が入るぞという、とってもとっても気になるところで、次回へ持ち越しとなってしまいました。続きがとても気になりますが、次回を楽しみに待ちましょう。
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PC二台にプロジェクター二台用いての講演。Göteborg大学ではさらにもう一台ずつ用意していたとか。

そして奥田教授の特別講演。
情熱的で、誠実に、おもしろく、細菌学に関して講演して下さいました。
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講演の最中も右へ左へ移動しながら、体全体を使って講義をして下さいました。
「見えない細菌を見える様にする(聴衆にイメージさせる)のは大変なんだ」といいながら、身振り手振りを交えながら説明して下さる姿は、なんとも印象的です。
口腔内細菌に関する歴史的な総論や、バイオフィルムが与える全身への影響、歯周炎に対する抗生剤の効果など、限られた時間の中で数多くのお話をして下さいました。
印象に残る話は多かったですが、1つ挙げるとするならば、歯周炎にたいする抗生剤の効果でしょうか。成熟したバイオフィルムに対して抗生剤を用いると、いずれ耐性が出来てしまう。故に、従来の手法による歯周治療が不可欠なのだ、というお話です。
私たちが日々行う臨床は、基礎研究の上に成り立っているかと思います。
今回、奥田教授のご講演を拝聴する事ができ、基礎研究と、臨床が密接にかかわり合っている事を再認識する事が出来ました。この度は本当にありがとうございました。
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奥田教授の講演スライドには、たまき先生の絵もたくさん用いられている。

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最後は懇親会です。すごい人数です。 

Journal Club 2014 第3回

本日は2014年度Journal Clubの第三回目がありました。
内容は下記の通り
1.石川先生留学体験記
2.論文抄読;飯島 進吾 先生
Clin Oral Implants Res. 2013 Apr;24(4):363-71. doi: 10.1111/clr.12067. Epub 2012 Nov 26.
Experimental periodontitis and peri-implantitis in dogs.
Carcuac O1, Abrahamsson I, Albouy JP, Linder E, Larsson L, Berglundh T.
3.症例発表;菅原 孝 先生
4.論文抄読;吉田 誠 先生
Clin Oral Implants Res. 2014 Sep;25(9):1094-8. doi: 10.1111/clr.12235. Epub 2013 Aug 13.
Microbiota in experimental periodontitis and peri-implantitis in dogs.
Charalampakis G1, Abrahamsson I, Carcuac O, Dahlén G, Berglundh T.
5.弘岡先生講義

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石川先生留学体験記。やはり留学でもっとも大変だった事はお金と言葉だったようです。

石川先生は、弘岡ペリオコースのインストラクターを勤めた後、3年間イエテボリ大学矯正科に留学し、先日帰国されました。あちらでの臨床ケースを提示しつつ、留学にあたり苦労した事などを楽しくお話してくれました。

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論文抄読の風景
今回の文献は、両方ともIngemar Abrahamsson先生が著者となっている文献です。
Abrahamsson先生は、3月には日本での講演も控えているので、Journal Clubではそれに向けて文献を読み合わせしています。講演には、奥様のKajsa Abrahamsson先生も演者として参加されますが、心理学の学位も取得しており、歯科恐怖症など、患者の心理にたった研究が多く、非常に興味深いです。
Abrahamsson両先生の講演の情報も近いうちに更新致しますのでお待ち下さい。

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スクリーンに映っているのがAbrahamsson夫妻。とても優しい雰囲気をお持ちでした。

そして夜は反省会。
平日の夜だというのに、皆さんご参加ありがとうございます。
次回のJournal Clubは東京歯科大学名誉教授の奥田克爾先生のご講演があります。
内容も盛りだくさんですので、ぜひご期待下さい。

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やはり、女性が参加してくれると雰囲気が華やかで明るくなりますね!

Journal Club 2014 第2回

本日はJournal Clubがありました。

今回の内容は下記の通り。
1,ケースプレゼンテーション
2,Ingemar Abrahamsson thesis Ⅰ
3,Ingemar Abrahamsson thesis Ⅱ
4,鶴屋先生統計学講義
5,弘岡先生講義

症例発表の担当は米谷先生でした。
歯肉の剥離を最小限に抑える術式が印象的なケースプレゼンテーションでした。
外科処置は患者さんにメスを入れる事になりますので侵襲があります。その侵襲を最小限に抑える努力を怠ってはいけませんが、外科的侵襲を加えてまで治療を行うのは確実に感染を取り除く為です。
技術的な差はもちろん、顕微鏡や、治療道具の開発に伴い、歯周外科のやり方も変わってくるのかもしれません。
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症例発表を行う米谷先生

論文抄読は、Ingemar Abrahamsson先生の卒業論文を2つ読み合わせを行いました。
本実験は、インプラント周囲組織の組織像を比較するものでしたが、既にBerglundhらが発表した内容に似ていました。なぜ、似たような実験を再び行う必要があったのか。僕にはそれがわかりませんでしたが、弘岡先生の推測を聴いて納得いたしました。単純に3つのインプラントメーカーを比較している訳ではなく、他の2つのメーカーよりも臨床歴の長いBrånemarkと比較する事に意味があった、という事でした。なるほど、しっくりきます。
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文献抄読を行う根本先生
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文献抄読を行う吉田先生

鶴屋先生の講義は統計学に関してでした。統計…避けては通れませんが、通りたくないジャンルだ、という人は多いのではないでしょうか。鶴屋先生の講義は、そんな苦手意識のある先生でも大丈夫な様に、かなり砕いてわかりやすく説明して下さります。

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隣の建物のイタリアンで反省会。
最後はいつもの様に反省会です。
いつもながら男ばかりですね。平日の夜では仕方ないのか。
次のJournal Clubは、いつもの症例発表や文献抄読に加え、スウェーデンのイエテボリ大学からご帰国される石川先生がお話をしてくれるそうです。 これは楽しみです! 

2014年度Journal Club 第1回

本日は2014年度はじめのJournal Clubがありました。
今回の内容は以下の通り:
1、Five-year results of a prospective, randomized, controlled study evaluating treatment of intra-bony defects with a natural bone mineral and GTRSculean A
2、ケースプレゼンテーション
3、The prognosis of tunnel preparations in treatment of class III furcations. A follow-up study. Hellden LB
4、Lindhe シンポジウム報告
5、弘岡先生講義

今年度も、Journal Clubは大盛況です。これだけの人数がそろうと、色んなイベントができそうなので、案もたくさんでてきます。
今年も、外部から講師を招待し、特別講演をしてもらえたらと思います。
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かなり広い部屋を貸し切っているのですが、それでもいっぱいです。

今回は再生療法。再生療法の成功の判断は難しいところです。生物学的なバックグラウンド、動物実験やランダム化された臨床試験を経て、ようやくその効果が認められるところになります。
しかし、再生しているかはおいておいて、臨床的にそれが安定して、患者さんの利益となるのなら、それも1つの治療法と言えるかと思います。
もう1つ、分岐部病変への対応は主にトンネリングに関する内容です。
分岐部に対し、トンネリングの果たす恩恵は大きいです。それは、歯内療法や補綴処置を避けることができ、さらに踏み込んだ処置、つまりリセクションや抜根という選択肢を後に残す事ができるからです。
文献には、技術的なアドバイスもあり、臨床に役立てる知識があったのではないでしょうか。
Lindheシンポジウムに関しては、 近日またブログで紹介できればと思います。
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Lindhe シンポジウム、かなり楽しかったようです。

診療後の遅い時間からのスタートにも関わらず、たくさんの人が懇親会に参加してくれました。とても嬉しい事です。しかし、これだけの人数、さすがに男だけというのもあれですね。…あれです。
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人数も増え、とてもいい感じです。ただ1つ、華がない。世間一般的に、男女の比率は1対1のように思えるが、なぜか14人全員男ばかり。統計の枠を超えた力が働いているようだ。お店も近いし、おしゃれなのになー。だれか考察お願いします!
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