患者様、コース受講生、歯科医療関係者への最新情報です。
5月のGWを終え、およそ3年に1度スウェーデン(イエテボリ)におけて開催される歯周病およびインプラントに関するシンポジウムに弘岡秀明ペリオコースを受講された先生方と総勢11名で参加してきました。
本シンポジウムは歯周病治療の権威であるJan Lindhe教授の名前をとったシンポジウムです。歯科界では数少ない、現存する人名がタイトルとなり国際的に人々が集まる学会であるといえるのではないでしょうか。
そして、1980−1990年代に、このJan Lindhe教授にイエテボリ大学で直接指導を受け、トレーニングを積んできたのが弘岡先生です。
そんな弘岡先生と伴に歯周病治療・インプラント治療の聖地、イエテボリ大学における本シンポジウムに参加できるという貴重な機会となりました。
座長はJanLindhe教授のもとで現在の治療の指針となる数々の研究を行ってきたTord Berglundh教授とJan Wennström教授であり、圧倒的な威圧感をもって基調講演が行われ、各講演が始まりました。
今回のテーマは感受性の高い患者に対する臨床的チャレンジです。
いざ、講演が始まると日本の学会ではみられないようなエビデンスの嵐でした。
最初のセッションは歯周病およびインプラント周囲炎の罹患率、遺伝的要因・微生物学的要因の影響についてです。
歯周病とインプラント周囲炎に関する多くのエビデンスが時にクロスされながら様々な切り口から考察されていき、考えさせられる講演でした。
多くのエビデンスをもってしても、まだまだ氷山の一角しか知り得ていないのが、現実かもしれません
次のセッションでは歯の周囲の局所的因子のみでなく、ライフスタイルや習慣の側面も歯およびインプラント周囲の組織に影響するのではないかということをテーマに講演、ディスカッションが繰り広げられました。
ここでは補綴物のデザイン・材質の違いによる優劣、インプラントはネジ止めのほうが優位であること、インプラントの生存に咬合は主因子にはなりえないこと等についても述べられました。
このセッションでは4人のスピーカーのうち3人が女性でした。時代は変わってきたようです。
最後のセッションでは感染のコントロール、感染が起きた時の対処法についてでした。
Peri-implantitisの治療法の有効性や、再生療法について述べられました。
SDCを表敬訪問されたベルン大学の Anton Sculean教授の講義も前回以上にビシっときまっていました。
今回のシンポジウムでは、歯周病と同様にインプラント周囲にも炎症があることが明確になってきたこと、どちらの疾患も感染しやすいハイリスクな方がいるという事実、インプラント周囲炎に対する治療はすでに確立されている歯周病の治療をベースに模索されているという現状を知る必要があること、などが警鐘されたのではないでしょうか。
また、本シンポジウムを通して、エビデンスに基づく治療、引用を間違えればズバッと指摘されるディスカッションが行われている様子が垣間みられました。このような積み重ねによって、同じ過ちや勘違いに基づいた治療などを繰り返さないこと、そして確信を持って治療をしていけるのではないかと肌で感じました。