豊川稲荷にて桜を見た後、Abrahamsson先生達とオフィスに戻ると、患者のアダムさんの診察がありました。イギリス人のアダムさんは日本在住ですが、ノルウェーにてインプラントを埋入したそうです。しかし、インプラント周囲炎を発症し、海外の歯周病専門医に治療を希望した所、日本に住んでいるならば日本の専門医を紹介する、ということで、Sweden Dental Centerの弘岡先生を受診したという経緯をもつ、世界規模のインプラント難民です。折角Göteborgから専門医の先生が来るなら、話を聞いてみたい、という本人の強い希望もあり、弘岡先生診察のもと、Abrahamsson先生にも助言をいただきました。
アダムさんは、インプラント周囲炎で苦しんだ経験を皆さんで共有したい、という思いから、以前Serino先生が来日講演されたときも聴衆(歯科医師、歯科衛生士)に向けたメッセージビデオを自ら作製し、当院まで送って下さいました。今回も、顔出しOKとの事です。
Abrahamsson先生の意見は、弘岡先生が話すものと全く一緒でした。インプラント周囲炎に確立された治療方法というものは存在せず、アダムさんに行われた治療法(外科的廓清)は、現在最も一般的に選択される術式であるという事。一番大切な事は術後のブラッシングであるという事。メインテナンス(Supportive therapy)は今後も必須であるという事です。
国が違えば、社会背景も、経済的状況も、物や健康の価値観も異なります。事情が異なれば、選択される治療方法が異なることはしばしばあるかと思います。しかし、エビデンスベースに得られたコンセンサスは世界共通で、それはまるで時代の流れに沿った医療を勉強している人間における共通語のようでした。
インプラント周囲の感染を除去する事は困難である。だからこそ、インプラントの埋入は慎重に行われなければならず、術前、術中、術後の感染のコントロールを行わなければならない。
アダムさんも、アブラハムソン先生の助言に納得し、最後はがっちり握手。
翌日は講演会です。みんなで日本料理を食べて明日に備えています。
次回はいよいよ講演会のまとめです!
その日の夜は鍋料理。お箸はやはり難しいよう。