10月28, 29日の2日間にわたり弘岡先生と古賀先生の著書「歯周病患者のインプラント治療」出版記念講演会が開催されました。
2日目はインプラント治療に関する内容となりました。
2日目も座長は冨岡先生です。
まずは古賀先生による疫学の歴史からインプラント治療における疫学まで非常にわかりやすい講演からスタートしました。スウェーデンでのインプラント周囲病変に関する疫学調査を紹介しながら、インプラント周囲病変の有病率を患者レベルとインプラントレベルそれぞれを把握することが重要と述べておりました。
Renvert教授は得意分野であるインプラント周囲病変について、その定義、有病率、治療方法まで、1日目と同様に自身の未発表の論文を含む文献的な考察に加え、自身の臨床症例を交えた説得力のある講演となりました。
インプラント周囲粘膜炎であれば非外科処置で改善が期待できるが、インプラント周囲炎に進行してしまうとたとえ外科処置を行なったとしても十分な改善を得ることが難しく、抗菌薬の効果も大きな改善を期待できるものではないとのことです。
そのため厳格なサポーティブセラピーによる予防が必要であり、さらに、最も重要なことはインプラント埋入前には疾病治療(歯周病や虫歯の治療)を完了しておくべきであり、そのことによりインプラント周囲炎に罹患するリスクを低減できると述べておりました。
スウェーデンデンタルセンターにおける臨床例について弘岡先生とRenvert教授が治療方針をディスカッションする時間が設けられ、お互いの臨床家としての知識と経験に基づいた有意義なものとなりました。日本でも今後、多くの臨床家を悩ますであろうインプラント周囲病変への対応の参考になったのではないかと思います。
弘岡先生の講演は、一般的には抜歯されインプラントを埋入されるであろう重度歯周病に罹患した歯を保存する歯周補綴治療へのインプラントの応用についての講演となり、歯をサポートするための手段としてインプラントを利用すること、また、今後増加することが予想されるインプラントと歯が混在する口腔内の管理について文献、臨床例を提示し解説していました。
2日間にわたる講演は、弘岡先生とRenvert教授の強固な友人関係ならではの終始和やかな雰囲気で行われ、なかなか他の講演では得られない貴重な体験ができたのではないでしょうか。