日比谷便り ~スウェーデンデンタルセンター オフィシャルブログ~

患者様、コース受講生、歯科医療関係者への最新情報です。

東京大学安田講堂

弘岡先生が東京大学安田講堂で講演しました。 
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スウェーデンからは歯周病学とう蝕学の教授陣が来日しました。
弘岡先生と10年来の友人でもあるStefan Renvert教授は、インプラント周囲炎に関するベーシックな講義で、インプラント周囲炎治療の現在の到達点をわかりやすく講義してくれました。
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続く弘岡先生もインプラント周囲炎について、実際の臨床例を提示しながらの講演しました。
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イエテボリ大学歯学部学部長を務めるPeter Lingstrom教授は、フッ化物含有ペーストの推奨される使用方法として、
歯の萌出時からは濃度1000ppmを子供の爪くらいの量で1日2回、2歳から6歳までは1000ppm エンドウ豆程度を1日2回、6歳以上は1450ppm、1-2cmを1日2回、12歳以上は1450ppm、2cmを1日2回の使用を説明していました。先日発表された日本でのアップデートとほぼ同一の内容なので、欧米のスタンダードとの一致を再確認できました。その他、フッ化物歯面塗布法として、NaF含有マウスウォッシュ、カスタムトレーによるフッ化物ジェル、5000ppmぺースト、22600ppmフッ化物バーニッシュ等も詳しく講義してくれました。
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先日ジャーナルクラブで講演していただいたDowen Birkhed教授同様、う蝕予防におけるフッ化物の使用を強調していました。 
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Prof. Dowen Birkhed特別講演会

スウェーデンカリオロジー界の巨匠Dowen Birkhed教授がジャーナルクラブで講演しました。ジャーナルクラブでは久しぶりの国外スピーカーへの依頼です。
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Dowen Birkhed教授は、弘岡先生がイエテボリ大学歯周病科の大学院一期生だった1990年に、マルメ大学のカリオロジーの教室から巨人Bo Krasse教授の後任としてイエテボリ大学に着任し、弘岡先生も直接指導を受けたそうです。IADR(国際歯科研究会)での受賞歴もあるカリオロジーの分野では高名な先生です。
講演前にはスウェーデンデンタルセンターを表敬訪問し、弘岡先生の留学時代のBirkhed教授による試験問題について討論していました。
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講演はスウェーデンデンタルセンター隣のビルの11階にできた東京タワーが見える最新の会場で、歯周治療後には避けて通れない根面カリエスについて最新情報を提供してもらいました。通訳はDowen教授と旧知のなかの、NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(PSAP)理事長・歯科医師の西真紀子先生です。 
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根面にはミネラルが足りないのでう蝕になりやすいが、う蝕処置に用いられるいかなる修復材料も推奨されるエビデンスがないため、予防することが大切であること、予防には高濃度フッ化物ぺーストと進行抑制には38%フッ化ジアミン銀の使用、そしてイエテボリメソッドについてエビデンスベースで再確認しました。
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Toothbrushing techniqueではなくToothpaste technique!

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臨床に直結する最新情報とともに、受講生にご自身でラッピングしたプレゼントを配布してくれました。

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日比谷公園内の松本楼での懇親会では質問がたくさん出ていました。
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国際口腔インプラント学会東京WEB講演会(第4回)

国際口腔インプラント学会東京WEB講演会の4回目の収録が終わりました。
今回は『歯周病患者のインプラントの実際』について講義しています。

まずは復習、今回の講義に大きく関連する「歯周病患者にインプラントは応用可能か?」からスタートです。
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無歯顎に対するインプラントでは上下顎とも生存率が高く(Adell1990)、非常に有効な方法であり、また、部分欠損に応用されたインプラントも無歯顎と同様に予知性の高い治療方法であることが報告されています(Lekholm1994)。一方、歯周病患者への適用では10年で90%の生存率(Karousis2003)が報告されています。適切な歯周治療により感染を徹底的に除去してからの埋入と、インプラント埋入後の厳格なサポーティブセラピーによる歯周組織の健康維持が必須(Roccuzzo2010)ではありますが、歯周病患者にも十分に応用可能であることがわかります。
実際の臨床で遭遇する歯周病による骨吸収で埋入困難な症例に対してのショートインプラント(Schincaglia2015)や傾斜埋入(Koutouzis2007)またカンチレバー(Aglietta2009)による対応(クインテッセンス・デンタル・インプラントロジー2022, 09弘岡、折居にて詳しく説明)Dr加治との矯正、インプラント歯周補綴でのキーアンドキーウェイKey & Keywayを使った2025年の長期症例の解説がされました。いずれの症例も徹底的な感染の除去と厳格なサポーティブセラピーが必要であり、リスクは天然歯よりも高いということを常に忘れてはいけないのでしょう。つまり、患者さんが通院してくれること、患者さんと歯科医師、技工士、歯科衛生士のチーム医療でないと守ることができないということです。
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そして、サポーティブセラピーにおいてもインプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎の鑑別、インプラント周囲炎に対しての有効な治療がない以上、少なくともインプラント周囲粘膜炎の状態で見つけ、病気の進行を止めなければならなりません。その重要なサポーティブセラピーでの注意点をスウェーデンデンタルセンターの歯科衛生士加藤典が解説するウェビナーは近日公開定です!! 

林 

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イエテボリ大学カリオロジーの巨匠Dowen Birkhed名誉教授がSDCを表敬訪問しました。

SDCには久しぶりにスウェーデンから表敬訪問がありました!

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弘岡先生の友人で、カリオロジーの巨匠Dowen Birkhed名誉教授が、NPO法人「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」理事長の西真紀子先生による招待で10日ほど日本に滞在されていましたので、SDCのスタッフも日曜日に行われたオープンセミナーに招待され参加してきました。
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立食パーティーでひとしきり歓談した後、1時間のセミナーで糖尿病とカリエスの関係について、現在分かっていることをBirkhed教授のグループによるシステマティックレビューなどを交えながら、的確にわかりやすく講義してくれました。わざわざスウェーデンからプロジェクターを持参する熱の入りようで参加者を驚かせていました。糖尿病患者はカリエスリスクの評価が大切で、特に歯周病に罹患した患者は治療後に根面が露出することがあるので、より綿密なカリエス予防が大切になります。


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スウェーデンデンタルセンターには2013年以来9年ぶりの訪問でしたが、有意義な時間が過ごせました。どうやら引退してもアクティブに活動されているようです。その後のパーティーも盛り上がり大変喜んでいましたが、次の日に帰国ということもあり時折寂しそうにしていました。来年も大阪に招待されているとのことなので再会を楽しみにしています!
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国際口腔インプラント学会東京WEB講演会(第3回)

国際口腔インプラント学会東京WEB講演会の3回目の収録が終わりました。
今回はインプラント周囲病変について講義しています。
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コペンハーゲンで開催されたヨーロッパ歯周病学会(EuroPerio10)で、いきなり入り口で旧知のスペインのMariano Sanz教授と遭遇

インプラント周囲炎も天然歯と同様に、細菌性プラークにより引き起こされる病気であることを、ヒトおよび動物による研究から解説しました。その有病率はスウェーデンでインプラント周囲炎が22%、インプラント周囲粘膜炎ではなんと43%も認められたと、イエテボリ大学歯周病科の准教授Jan Derksらが報告しています。歯科における予防が進んでいるスウェーデンですら、かなり多くの患者にこの病気が認められることをエビデンスをもとに解説しました。
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イエテボリ大学のDerk准教授の講義後、弘岡先生はちゃっかり自分の教科書の宣伝しています。

インプラント周囲病変の分類方法は、弘岡先生とスウェーデンのStefan Renvert教授の共著であるFDIのコンセンサスレポートから解説しました。また、インプラント周囲炎の治療は、弘岡先生のイエテボリ大学時代の同級生であるSerino先生による一連の2年、5年、10年のフォローアップ論文から、実際のスウェーデンデンタルセンターでの症例を提示しながら考察しました。やはりインプラント周囲の骨まで喪失した状態であるインプラント周囲炎になってしまうと治療が難しく、確定的な治療方法がみつかっていないので、予防と少なくとも初期の段階で病気を発見し進行しないようにすることが大切です。
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Dr. 弘岡に聞く臨床的ペリオ講座スカンジナビアンアプローチの実践より

インプラント埋入前に、インプラント周囲の病気のリスクとSPTの必要性を患者に知らせるべきであり、禁煙、歯周病の治療は、インプラント処置に先立って行わなければなりません。そして、インプラント埋入後には、上部構造はプロービング、患者および術者の清掃がしやすい形態に、患者には個々の口腔衛生について定期的検査と再教育を伴う指導を受ける必要があります。
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インプラント周囲炎についてのRenvert教授、Derks准教授、オスロ大学のKoldsland准教授の討論会に参加。

弘岡先生が、4年ぶりに110カ国、7500人の参加者を集め開催されたヨーロッパ歯周病学会に、数人しかいなかった日本人参加者のひとりとして学会参加した直後ということもあり、ヨーロッパの最新情報を入れながら講義を行いました。

公開を楽しみにしていてください。 
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日比谷便り ~スウェーデンデンタルセンター オフィシャルブログ~